今からずいぶんと昔のことになる。
一人暮らし歴は長いが、大学生の時の一人暮らしは今でも特別だ。
ぼくが一人暮らしを始めたのは、高校を卒業して地方の大学に入学したときからだ。
ぼくはめぞん一刻が好きだった。あんな感じにあこがれていた。
でもいざ実家を出て一人で暮らしていくということは、楽しみでもあり不安でもあった。
自分ひとりで生きていけるのだろうか。料理をすることができるのか。友達はできるだろうか。いろいろな契約とか自分でできるのだろうか。
続きを読む僕はそういう輪の中に入ることができない。
致命的に雑談が苦手だからだ。
どこに行くとも知れない会話の流れに乗ることが出来ない。
視線をどこに向ければいいのか。
いつ笑って、いつ相槌を打てばよいのか。
分からないから空気を必死に読もうと思って、読むのに必死で会話をすることができなくて、結果的に自分が空気になってしまう。
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